屋根塗装

屋根塗装の役割

屋根塗装は住宅の耐久性を維持するために重要なメンテナンスです。特にスレート屋根は、カビやコケが発生しやすく、棟板金の釘抜けやひび割れが起こりやすいため、定期的な点検とメンテナンスが推奨されます。
また、外壁塗装だけでなく、屋根塗装も含めた費用の相場を事前に把握しておきましょう。一般的な建坪30坪程度の家であれば、屋根塗装を含めると130~150万円程度が目安となります。

屋根材の確認と診断

屋根塗装を検討する際、まず屋根材の種類を特定することが重要です。スレート、金属、瓦など、それぞれ適した塗料や施工方法が異なります。

  • スレート屋根: 住宅で最も多い屋根材で、コケや藻、カビが発生しやすい。ノンアスベストのスレート屋根には塗装に不向きなものもあります。
  • トタン屋根(ガルバリウム鋼板含む): 太陽熱によって収縮が起こりはがれてしまうトラブルもあるため手作業のケレンが重要になります。
  • 瓦屋根: 地震でズレが生じやすいが、台風の影響は比較的少ないです。塗装やカバー工法はできず、葺き替えが必要となる場合もあります。
  • 折板屋根: アパートや工場に多い屋根で、鉄板が厚く頑丈。ただボルトの錆に注意が必要。

屋根の状態の確認

屋根塗装の塗料と施工工程

屋根の状態を確認する際には、まず劣化の兆候として、カビやコケ、藻の発生、ひび割れ(クラック)、棟板金の釘が抜けかけている状態、そして錆の有無を注意深くチェックすることが重要です。

スレート屋根では、ひび割れや剥がれの発生が見られることがあり、特に棟板金の釘が浮いていないかを確認する必要があります。スレートの塗装には、スレート専用の塗料を使用することが推奨されます。

折板屋根の場合は、錆やチョーキング現象が起きていないか、ボルトシールが劣化していないかを確認することが大切です。錆の進行を防ぐためには、ボルトキャップを取り付け、必要に応じてシール処理を行うことが効果的です。
また、アスファルトシングルの屋根においては、水性塗料を使用するのが適しており、適切な塗装によって耐久性を維持することができます。

最適な塗料にて施工

塗料は屋根材の種類や求める機能(遮熱・断熱など)に合わせて選びます。塗料性質的には溶剤と水性、一液と2液がありますが、屋根の場合は溶剤がベストで後は遮熱や断熱機能をもった塗料を使うのかどうかでも変わってきます。

1. 下地処理

高圧洗浄でカビやコケ、チョーキングを除去し、塗装の密着性を高めます。チョーキング(塗膜の劣化による白い粉の発生)がひどい場合は、念入りな洗浄が必要です。
また、ひび割れや棟板金の釘浮きがある場合は、補修材で埋める、釘を打ち直す、または棟板金自体を交換するなどの適切な処置を行います。

2. 下塗り

屋根材の種類や劣化状態に応じた下塗り材(シーラー)を使用し、塗料の密着性を高めます。特にスレート屋根の場合、傷み具合に応じて密着性を重視した下塗り材を選ぶことが重要です。

3. 中塗り・上塗り

塗料の性能を最大限に引き出すため、適切な塗布量を守り、中塗り・上塗りを行います。使用する塗料には、シリコン、ラジカル制御型、フッ素などの種類があり、1液型と2液型を使い分けることが推奨されます。
また、断熱塗装を施す場合は、上塗りを複数回重ねることで効果を高めます。

4. 縁切り(スレート屋根の場合)

スレート屋根は、屋根材の重なり部分に隙間がないと雨水が毛細管現象で侵入し、雨漏りの原因となる可能性があります。
縁切りの方法には、縁切りカッターを使用する方法と、タスペーサーという専用部材を挿入する方法があります。ただし、タスペーサー使用時は屋根材にクラックが入る可能性があるため注意が必要です。

屋根の調査

見積もり前に必ず屋根上の調査が必要です。特にスレート屋根の場合は歩くだけですぐ割れてしまうようなノンアスベスト屋根もあるのと傾斜もそれなりにあるため屋根に上っての調査も限られてきます。
塗装職人・東京店では基本カメラ棒やドローンなどでも調査を行っています。

悪質な訪問販売業者に注意

屋根塗装を検討する際には、慎重な業者選びが重要です。特に屋根は外壁よりも高い場所にあり、普段は目にする機会が少ないため、業者の言葉をそのまま信じてしまいがちです。この特性を悪用し、不適切な営業手法を用いる業者もいるため、冷静に判断することが求められます。

たとえば、「無料点検」を口実に屋根に上がり、実際には問題がないにもかかわらず「すぐに修理が必要」と言って契約を迫るケースがあります。中には、わざと破損させたり、釘を抜いたりする業者も報告されています。また、「ひび割れが進行している」「瓦が落ちかけている」などと不安を煽り、すぐに工事をしなければ危険だと思わせる手法もあります。

さらに、「近くで工事をしているので特別に割引できる」と装って訪問するケースや、公民館などでリフォームセミナーを開き、高額な契約へ誘導する「セミナー商法」にも注意が必要です。

屋根は自分で状態を確認しにくいため、業者の言葉を鵜呑みにするのではなく、複数の業者に見積もりを依頼し、施工内容や金額をしっかり比較することも大切になるかと思います。