今回は、世田谷区にあるお客様の別宅で行った、屋根のカバー工法と外壁塗装をご紹介します。
建物は築20年、地上2階・地下1階です。外壁は窯業系サイディング、既存の屋根はスレート葺きで、屋根材はコロニアルNEOした。屋根と外壁に加え、シーリングの補修や付帯部の塗装、バルコニーの防水工事も行いました。
コロニアルNEOを確認し、屋根はカバー工法をご提案
最初にお見積りをご依頼いただいたのは、工事が決まるよりもだいぶ前のことでした。お客様は他社のお見積りとも比較されていて、ご検討には時間がかかりました。
菊池がお見積りをお持ちした際、屋根材がコロニアルNEOであることを踏まえ、「こちらの屋根は塗装よりも、カバー工法の方がよいと思います」とお伝えしました。表面を塗り直すことと、屋根材そのものの傷みへの対処は、分けて考える必要があります。この屋根を今後どう維持していくかを考えてのご提案でした。
コロニアルNEOについてご説明したうえで、「ご自分でも調べてみた方がよいと思いますよ」ともお話ししました。工事をする側の説明だけで決めるのではなく、お客様にも確かめていただきたかったからです。実際に調べてくださり、後日、菊池の説明と同じ内容だったとお聞きしました。
その後、お客様は他社にも屋根をカバー工法に変更したお見積りを何度か依頼されたそうです。ただ、そのお見積りが届くまでには、かなり時間がかかったとのことでした。ようやく出そろった屋根工事の金額は、弊社とほとんど変わらなかったそうです。
お客様のお話では、その会社は塗装を自社で施工するため塗装費用を抑えられる一方、カバー工法は別の業者に依頼する形でした。そのため屋根工事の金額は近くなっても、工事全体では他社の方が安く、一度はそちらへの依頼も考えたとお聞きしました。
それでも、一つ一つの対応を長く待つことに疲れてしまったとのことで、菊池に「少し高くても、そちらにお願いしようと思う」とお電話をくださいました。工事を任せる相手として選んでいただいたことを受け止め、屋根はカバー工法、外壁は塗装という内容で施工することになりました。
担当した職人は、塗装が菅職人、シーリングと屋根カバー工法が市川職人、防水工事が白須職人です。ここからは、それぞれの仕事を工事写真とともにご紹介します。
足場を設け、高圧洗浄から工事を開始
まずは屋根と外壁の作業に必要な足場を設置しました。建物のまわりに作業床を組み、飛散防止用のシートを掛けています。地上2階の外壁だけでなく、軒先や屋根まわりまで作業するための準備です。


続いて高圧洗浄です。屋根とサイディングの表面に付いた汚れを洗い流していきます。外壁はこの後に塗装を行い、屋根は既存のスレートの上に新しい防水シートと屋根材を重ねる工事へ進みます。


屋根職人による屋根カバー工法
施工前の屋根と、既存の役物を撤去しているところです。カバー工法では既存のスレートを残しますが、その上からすべてをそのまま覆うわけではありません。新しい屋根の施工に合わせ、棟板金や雪止めなどの部材を取り外していきます。


棟板金を取り外し、軒先には唐草と呼ばれる役物を取り付けました。屋根面だけでなく、軒先の納まりも順に整えます。完成すると目立たなくなる部分ですが、新しい屋根をつくるための工程です。


既存の棟まわりを撤去した後、粘着性ルーフィングを施工しました。ルーフィングは屋根材の下に入る防水シートです。仕上がりの金属屋根に隠れてしまうため、この段階の状態も写真に残しています。


屋根の側面にあたるケラバの役物と、雪止めを取り付けました。屋根には平らな面だけでなく、端部や部材のつなぎ目があります。市川職人がそれぞれの場所を納めながら作業を進めました。


新しい屋根材にはスーパーガルテクトを使用しました。屋根本体を施工し、棟部分には板金を固定する下地となる樹脂製貫板を取り付けています。施工前のスレート屋根から、金属屋根へと姿が変わってきました。


最後に棟板金と換気棟を取り付けました。屋根材を並べる作業に加え、頂部の納まりまで仕上げて屋根全体の工事を進めます。こうした工程を担当したのも市川職人です。


屋根カバー工法の施工後です。今回は、既存のコロニアルNEOを塗装するのではなく、新しい屋根を重ねる方法を選びました。ご相談の段階でお伝えした工事内容が、ここで形になりました。

屋根を塗装するか、カバー工法にするかという考え方は、別の事例を紹介した「世田谷区で屋根カバー工法をするべき屋根と工事」でも説明しています。築年数だけで決めず、屋根材と現状に合わせて検討することが大切です。
次の動画は、塗装職人が別の現場で行ったスーパーガルテクトのカバー工法です。粘着性ルーフィングから屋根本体、棟まわりまでの流れをご覧いただけます。建物や施工条件、動画内の費用は今回の工事とは異なります。
シール職人がサイディングの目地と取り合いを補修
外壁のシーリング工事も市川職人が担当しました。サイディングの目地では古いシーリング材を撤去し、新しい材料に入れ替える打ち替えを行いました。まずは施工前の状態と、撤去の作業です。


目地にプライマーを塗り、新しいシーリング材を充填していきます。塗装で外壁の色を整える前に、目地の部分も手を入れました。今回の工事では、外壁目地の打ち替えと、サッシまわりなどの増し打ちを場所に応じて行っています。


充填した材料はヘラで押さえて形を整えます。作業中の様子と、施工後の目地です。外壁の面を塗る作業とは別に、こうした細い継ぎ目にも一つずつ工程があります。


建物の角が内側に入り込む入隅や、外壁の継ぎ目も施工しました。まっすぐな目地だけではなく、壁面が切り替わる場所も対象になります。仕上がりの色だけでは分かりにくい部分も、工事写真で確認できます。


換気口やサッシのまわりにもシーリングを施工しました。外壁に別の部材が取り付くところは、細かな取り合いが生まれます。大きな壁面とあわせて、こうした開口部の周囲にも手を入れています。


部材どうしの取り合いや、軒天と外壁の境目も仕上げました。今回は屋根と塗装だけの工事ではなく、外壁まわりのシーリングも含めて施工しています。工程ごとの写真を並べると、手を入れた場所の広さが分かります。


配管まわりの施工後です。細かな部分まで市川職人が担当しました。サイディングのシーリングについては、大田区田園調布で行ったシーリング打ち換えの施工事例もご覧いただけます。補修の方法や範囲は、各現場の状態によって異なります。

こちらは別の現場で、シーリングの専門職人が作業する様子を紹介した動画です。撤去から充填、ヘラ押さえまで、写真だけでは伝わりにくい手の動きもご覧いただけます。今回のお宅を撮影した動画ではありません。
塗装職人が外壁を下塗り・中塗り・上塗り
外壁塗装を担当したのは菅職人です。1階のサイディングは下塗りから始め、中塗りへ進みました。表面に凹凸がある外壁のため、平らな部分だけでなく目地や模様のくぼみにも沿ってローラーを動かしています。


1階の上塗りと、2階の下塗りの様子です。今回は1階と2階で色を分けて仕上げました。仕上げの色が違っても、それぞれの面で下塗りから順に工程を重ねていることが分かります。


2階も中塗り、上塗りと進めました。下の階は落ち着いた濃色、上の階は明るいベージュ系の色です。外壁の面ごとに仕上がっていくと、建物全体の印象も少しずつ変わっていきました。


水切りや雨樋などの付帯部も塗装
外壁だけがきれいになっても、まわりの部材の傷みや色あせがそのままでは、全体としての仕上がりは整いません。菅職人は水切りの下地を調整し、下塗りから施工しました。


水切りは中塗り、上塗りまで進めています。幅の狭い部材にも下地調整からの工程があり、仕上がった状態だけでは見えない仕事が含まれています。外壁との境目も含めて整えていきました。


軒天と雨樋の上塗りです。上を見上げたときに目に入る軒天、外壁に沿って取り付いている雨樋も塗装しました。外壁の色とあわせて、建物を構成する部材を仕上げています。


破風と帯板も塗装しました。特に帯板は、上下で色を分けた外壁の境目になる部分です。壁面の仕上げとともに、こうした横のラインが整うことで、完成時の印象がまとまります。


シャッターボックスとパイプの上塗りまで行いました。大きな外壁面から細い配管まで、菅職人がそれぞれの場所を施工しています。塗装する部位ごとの作業を写真で残しました。


油性塗料を使う日は、においに配慮して対応
施工中には、塗料のにおいへの対応もありました。息子さんがにおいに敏感だったためです。油性塗料を使用する日には、一時的に別の場所へ移動して過ごしていただきました。
今回の工事では、塗る場所や工程を進めることに加え、ご家族が工事中にどう過ごされるかへの対応も必要になりました。菊池にとっても、仕上がりだけでなく工事中のご負担に目を向ける大切さを感じる場面でした。
防水職人によるバルコニーのウレタン防水
バルコニーの防水工事は白須職人が担当しました。施工前の状態を確認し、プライマーを塗布しています。外壁や屋根の工事とあわせて、床面の防水にも手を入れました。


ウレタン防水材を1層目、2層目と重ねました。床面に防水層をつくっていく工程です。表面の色を整えるトップコートだけの施工ではなく、その下の防水層から施工している様子を残しています。


防水層の上にトップコートを塗り、仕上げました。床面は落ち着いたグレーになっています。白須職人が担当した防水工事も、塗布の途中から完成まで順を追って確認できます。


バルコニーのウレタン防水の流れは、ベランダ防水のご案内でも写真付きで紹介しています。既存の防水の状態や施工箇所に合わせて、工事内容を考えます。
外壁塗装と防水で使用した材料
外壁に使用したのはナノコンポジットWです。材料写真にはNC-21とNC-11の表示が残っています。今回はこの2色で上下の外壁を塗り分け、濃色と明るい色の組み合わせに仕上げました。


防水工事ではサラセーヌの材料を使用しました。トップコート材と防水材の写真です。施工後の床面だけでなく、使った材料もあわせて記録しています。


こちらはプライマーと防水材の記録です。下地に塗る材料、防水層をつくる材料、表面を仕上げる材料は、それぞれ工程が異なります。白須職人の施工写真と材料写真をあわせて掲載しました。

完工検査で外壁・付帯部・防水・屋根を確認
工事の仕上がりを確認する完工検査を行いました。まずは玄関上部や玄関まわりです。玄関に近い外壁や軒まわりは、完成後にも目に触れる部分になります。


雨樋の下部や、外壁に取り付く配管まわりも確認しました。大きな面の印象だけでなく、下の方や部材の周囲にも目を向けています。


シャッターボックスと軒まわり、バルコニー床面の検査写真です。塗装と防水で担当する職人は分かれていますが、工事全体としてそれぞれの仕上がりを確認しました。


上下の外壁の境目と、2階外壁の仕上がりです。帯板を挟んで色が切り替わり、明るい上階と濃色の下階がまとまりました。サイディングの模様も残った仕上がりになっています。


別の壁面と軒天まわりも確認しました。写真の角度を変えることで、正面からの外観だけでは見えない面や、屋根の下に隠れる部分も記録しています。


破風・雨樋の取り合いと、バルコニー防水の仕上がりです。付帯部の塗装と床面の防水まで、それぞれの施工箇所を確認しました。


軒先と屋根面の検査写真です。屋根の工事は、地上から全体を見渡すことが難しいため、こうした記録でも仕上がりをお伝えしています。


屋根の棟まわりも確認しました。菊池の現場管理のもと、菅職人、市川職人、白須職人が担当した各工事を終え、完成へと進みました。

仕上がりと、3人の職人の仕事を喜んでいただけました
足場を解体した後の外観です。1階は落ち着いた濃色、2階は明るい色となり、白い雨樋や帯板が組み合わさった外観になりました。屋根はカバー工法、外壁は塗装という当初のご提案が、建物全体の仕上がりにつながっています。


仕上がりには問題なく、お客様にも喜んでいただけました。菅職人の塗装、市川職人のシーリングと屋根工事、白須職人の防水工事についても、たくさんのお褒めの言葉をいただいています。
今回、お客様が最後に選んでくださった理由には、工事の金額だけでなく、ご相談に対する一つ一つの対応がありました。そのご期待に、職人たちの実際の仕事で応えられたことを、菊池もうれしく思っています。大切な別宅の工事をお任せいただき、ありがとうございました。
