先週からカバー工法の工事がスタートした、世田谷区のお客様宅。
金曜日に足場が組み終わり、土曜日の高圧洗浄を経て、その翌日から棟カバーや棟木を全部取り除いて防水シートを敷き、カバー工法を行います。
実は、こちらのお客様。今回の工事をするにあたって、屋根色に非常にこだわりがありました。
今回は、カバー工法をする際の色味を中心にお話しいたします。
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塗装ができない屋根のカバー工法
以前のブログでもお話していますが、ノンアスベストの屋根材の中には数年たつと割れてきてしまうものや、もろくなってしまうものがあります。
そうした屋根は、通常の屋根のように塗装することができません。
そのためカバー工法か葺き替えかの選択となります。
ほとんどのお客様は塗装工事をしようと思った際に大体の方が予算150万円くらいを想定されるのですが、カバー工法になると200万円超えに…。
そのため、カバー工法のお話をすると躊躇されてしまうお客様もいらっしゃるのです。
今回のお客様は、やはりノンアスベストの屋根でしたので、塗装ができずカバー工法となりました。
菊池がお客様の元へ打ち合わせに伺った時には、すでにさまざまな業者で見積もりをとり、多くの業者からカバー工法の提案をされていたことで、「カバー工法は致し方ない」と思っていらっしゃったようです。
費用についても各業者からだいたいの金額を聞いていたからか、非常にスムーズにお話が進みました。
しかし、ここで一つお客様からリクエストが。
それは、カバー工法で使う金属屋根の色を選びたいとのことだったのです。
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カバー工法では難しい色選び
カバー工法で使用する屋根材は、基本暗い色です。いろいろ種類がありますが、その中でSGL鋼板という金属板を屋根材として使用するのですが、シェイドブラック、シェイドモスグリーンなど。シェイド…影、濃淡、陰影などを表す言葉が冠に来る通り、暗い色味となります。
もちろん、そうした色の中から選んでいただくことは可能です。
しかし、今回のリクエストは淡いグリーンでした。
これには…各業者みな頭を悩ませたようです。
そこで、お客様から張り込む屋根材を塗装してはどうかというご提案もありました。
しかし、メーカーのほうではまだ新品の屋根材を塗装するということに、あまり肯定的な反応はなく…。どちらかと言えば、反対意見が多かったです。
なぜなら、もともとガルバリウム鋼板は、20年ほど持つ屋根材です。その屋根材にわざわざ塗装をするということは、やすりで『目荒らし』をして細かい傷をつけ、塗料を食わせながら塗ることになります。
新品の屋根材をわざわざ傷つけるなんて、もったいないことです。
菊池もかなり悩みました。
しかし、ここで一つ思い出したことが……。それは、セキノ興産というメーカーが出しているSGL鋼板です。
実は数十年前に一度ここの屋根材を使ってカバー工法をしたことがあり、その際にお客様が何色でもいいからと選んだ際に、明るい鶯色のようなSGL鋼板があったことを思い出しました。
初めてのメーカーだったので、サンプルから選び実際張り込んでみたところ、面積効果で実際よりもかなり明るい色味に見えたことが印象に残っていたのです。
そこで、セキノ興産のSGL鋼板を調べてみたところ、ノーブル15SGL「ロクショウ」という鋼板がまさに、薄いグリーンがありました。
そこで、急いでお客様にご提案してみたところ、こちらのメーカーの屋根材を使ってカバー工法をしてほしいとご快諾頂けたのです。
ここまでで、カバー工法の部材であるSGL鋼板の淡い色を選ぶ難しさについてお話しいたしました。
このあとは、いよいよ色が決まりましたので、外壁と屋根、破風、帯などで色合わせを行っていきます。
こだわりの塗装がどのように行われるのか、ご覧ください。
また業者を決めるポイントのお話も伺いましたので、それもふまえてお話したいと思います。
相見積もりの際の決め手とは
お客様は、非常に色にこだわりのある方でしたので、カバー工法のSGL鋼板の色が決め手になったことは間違いないのですが、それ以外にも他の業者を選ばない理由がありました。
最初の業者は、持ってきた見積書からタバコの臭いがしたそうです。
タバコを吸っている…ということは別にいいのですが、見積書にまで臭いが移っても気が付かないということが、すこし配慮がないかな…と。
次の業者は、屋根上に上る現場調査をしてくれたのですが、施主様としてはもうカバー工法にすることは決まっていたし夏場の暑い時期だったので、上らないで大丈夫ですとお伝えしたのだとか。
しかし、どうしても上らないと…と言って、上って調査をされたそうです。
もちろん、きちんと調査をしてもらえたのは嬉しかったのですが、それでも「やらなくてもいい」と言ったことを押し切られてしまって不安を感じてしまったのだとか。
微妙な思いのバランスではありますが、お客様と意思をきちんとくみ取るということは、工事においてとても大切なことだと思います。
最後の業者は、図面だけを見て現調などはせずすぐに見積もりを持ってきたそうです。
今度はあまりにもシステマチックな対応だったことで、不安を感じたのだとおっしゃっていました。
そうして、相見積もりを取った業者の中から、弊社が残ったのだそうです。
屋根上のチェックは、ベランダから亀棒に取り付けたカメラで撮影させていただき、図面と合わせてチェックをし、家の周りの現調は旦那さんと菊池で回りました。
(写真は別の現場です)
その際にも、塗る箇所と塗らない箇所についてひとつひとつ確認をし、最後にお見積もりを作成し、お届けしたのです。
業者の選び方というのは、本当に人それぞれですが、ご自分の考えややりたい塗装工事を行える業者を選ぶべきだと思います。
たばこの臭いや、言葉のやりとりなど些細なことではありますが、小さくともそうした気になるところは、工事中なにかしらのヒズミとなるでしょう。
お客様自身が、工事内容や営業の対応などしっかりと見極めて納得して依頼することが、何よりも大切なのです。
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家の塗装 色を揃えるためにすること
屋根色選びが難航したお客様でしたが、その後破風と帯も屋根と同じ色にし、さらに壁色も薄いグリーンのご希望がありました。
そこで、まずは破風と帯は金属板を巻き付ける破風巻き、帯巻きの工事をするので、屋根のSGL鋼板の手配をしたセキノ興産に、同じ色で金属板(コイル)を注文し、カットして工事を行うことに。これで、色を揃えることができます。
さらに、屋根と同じ色味にした箇所の塗料も、塗料メーカーにコイルを送り、同じ色味で作ってもらいました。
外壁も淡いグリーンで統一し、こちらの色味は塗料のサンプルからお客様に選んでいただいたものです。
白に近いグリーンですが、非常にきれいな色になると思います。
こうして色味を揃えて、工事がスタートとなったのです。
お客様の理想の色を実現するために
塗装工事は、家を10年~15年先までさらに寿命を延ばすための工事でもありますが、色選びもお客様の思いを形にできるポイントのひとつです。
塗装工事の際には、お客様の思いをお聞かせください。
長年この塗装職人で培った菊池の経験や知識から、ご提案できることがあると思います。
塗装職人の工事は、お客様の思いに寄り添う工事です。
是非一度、お問い合わせください。
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