昨今の住宅はお隣との境界線が接近していて足場を組むこともそう単純ではなくなりました。
20年ほど前は今ほど過密している印象はないのですが、最近はお客様の方からお隣がかなり接近していることに対して気になされていることを聞くことも度々あります。
足場を立てる状況を考えると隣が接近していれば接近しているほど、当然組み立ても難しくなります。
塗り替えの行程の中で、ペンキを飛ばす以外にトラブルにつながってしまう可能性が高いのも足場です。
戸建てで使う足場は建地という縦の管で長いもので5メートルぐらいになるため境界が接近している狭小作業では、お隣の外壁にこすってしまう恐れもなくはありません。
中々外壁というのは少ないかも知れませんが、これまで境界にあるフェンスや室外機などを破損させてしまい保証させて頂くこともありました。
破損の勘違い
それ以外にも、破損は元々発生していたりしてお客様の勘違いということもあります。
接近しているお隣から壁を傷つけたというお叱りを受けたこともあります。その一方でお見積りの現地調査の写真から判明するなどして、実は工事着工前から元々傷や破損などがあったということも何度かありました。
今はそのようなトラブルをなくすため、現地調査では足場を組むための家の高さや長さを測る調査という意味に加えて、もしもの破損という時のために責任所在を明確にするという意味で特に境界にある物などの写真を意識して撮るようにしています。
破損などがないと確認したうえでも工事中傷をつけてしまう恐れがあるときや、狭小でどうしても作業が困難な場合には一旦取り外しすなどの脱着作業をすることもしばしばあります。
壁際などにカーポートがある場合も屋根のアクリル板を外したりすることも珍しくはありません。
脱着作業はその専門である大工やサッシ屋の職人などが行います。塗装の職人でが片手間にやってしまうと逆に破損にもつながってしまうため、塗装工事の費用とは別に脱着費用が掛かってきます。
創業から32年の中での職人との出会い
外壁塗装というものは足場屋と塗装の職人だけではなく、サイデイングであればシール職人も入りますし、築年数が経過しているお家であれば木部や鉄部などの腐食の可能性も高くなってくる分、大工や板金職人も入ってきます。
それこそバルコニーの床を施工するための防水職人、最近では金属瓦による屋根工事も盛んなため屋根職人も入ることも多くなってきました。
入る職人の数が多ければ多いほど、確率的には当然トラブルの可能性も高くなります。
そこでもし作業中に破損やペンキで他のものを汚してしまうなどの状況になれば当然ながら職人から報告が上がるようにはしていますが、お客様から先にご指摘を頂くこともあります。
そうなれば各職人に破損の心当たりがあるかということを聞く必要性が出てくることにもなりますが、うちの職人に限っては報告がないということは今まではほぼありません。
例えばお客様から車にペンキが付いていたという指摘があるようなトラブルも何度か経験していますが、実際に職人が飛ばしてしまったものに関しては、必ず報告が上がってくるようになっていますし、車には元々ペンキが付いていたということが後から判明したことも何度かあります。
もし報告がないということは、ミスを犯しながら黙っているという意味でもあります。
手前味噌ですがうちの職人は元々マナーや礼儀がしっかりしている職人しかいないと思っています。
【動画・職人たちとお客様との食事会】
創業して32年ですが、これまでたくさんの職人の雇用と協力業者も含め紆余曲折があり様々なことがありました。
でも今残ってくれている職人はマナーだけでなく人間性も優秀です。
知人やご近所から評判を聞いてお客様から名指しで指名して頂く職人もいれば、10数年前に塗装をさせて頂いたお客様から再度指名がかかる職人もいます。
創業からの歴史の中には、中には評価できるとは言えない職人もいましたが、そのような職人の場合うちの基準に合わずおのずと辞めていきました。
恐らくお客様が勘違いしてしまうのはそのものに対して普段から気にしていないことも要因です。
工事をすることによっての様々な物理的影響を危惧してしまう結果、その不安感情から誤解に至ってしまうのかと思います。
ただ業者としてはこちらの責任において何かトラブルがあった場合は、精神的に相当なエネルギーを消費するのでほっとするのと同時に、言葉は悪いですが勘弁してほしいという気持ちになることもとても言いづらいことではありますが嘘ではありません。
弊社とお客様とのお互いの信頼性
もしトラブルについてお客様から指摘を受けた場合を受けた場合、職人にすれば何の証拠もなく易々と疑いをかけられるような行為は当然気持ちのいいものではなく、会社としてももちろんそのようなこともしたくありません。
そのためこれまで色々勉強させられてきた今では、見積り担当が必ず足場を組む施工前の写真を撮るようにしています。先ほどのお隣からお叱りを受けたというのも実は施工前に撮影した写真から元々破損していたということが後で判明できたという状況でした。
お客様も人間ですし、業者も組織ではありますが個々は人間です。間違いもただあることかも知れませんが、施工的にも気持ち的にも良い工事ができるようにお互いの信頼関係が大事です。
施工前写真はただ撮るだけでなく、お客様も破損などに対してそれほど意識せず気づいていないということもあるため破損などがあればその状況を共有させてもらうようにしています。
最大限の配慮
破損などを避ける意味でも迷惑をかけずに気持ちよく工事を遂行するためには、作業的に最大限の配慮が必要になってくるわけですが、図面にも施工前の現状をより詳しく書き足すなどして現地調査の状況把握はもっとも重要になります。
この図面からわかることは、例えば敷地が広くなく施工的にどうしても困難な場合はお隣の敷地を借りるお願いをする状況を説明しています。
「空中越境」というのは地面に足場を立てずに空中で足場同士をつなげるという足場の施工方法です。
今はお隣同士接近している家がとても多くなってきていますので、お隣にご協力をお願いすることはありますが、どんなに狭く思えてもこれまでの経験を踏まえてもまず足場を組めないということはありません。
もしお隣やご近所のことを気にされるということであれば、足場と同じぐらい配慮が必要なのが高圧洗浄です。
水しぶきを上げるため、洗濯物や布団干しを控えてもらったりと足場よりかは、実際にお隣の手を借りて物理的に協力してもらう必要性が出てくるものです。
車が接近指定のであれば当然洗浄水がとばないよう車へのカバーなどをさせてもらったりもします。
高圧洗浄で破壊や破損をさせてしまうということはあまりないですが、足場と同様隣への影響度は通常の作業より高いです。
うちでは施工エリアは都内だけではないので年間相当数の工事件数は相当数に上る分トラブルもないとは決して言えません。
もちろんお客様の勘違いでではなく、車にペンキを飛ばしてしまったり傷をつけてしまったりなどという最悪のトラブルもありました。
作業中にやってしまったのか、元々あった傷なのかトラブルの中には未だに原因が不明なもので結局原因がわからないというものもありましたが、そういう場合の結末は業者であるうちのほうで処理させていただくしか方法がないのかなというのが今の現状です。
ですので、工事にまつわる保険はできるだけ最高保証ができるもので、損害保険も万全にして工事をさせて頂いています。
保険が中途半端になれば怖くて工事などできないですし、その備えがあるからこそ狭小作業になろうかと思われるお宅でも自信をもってお客様に工事をお勧めすることができるというものです。
ただ工事保険が万全だからと言って、それだけでいいのかといえばそうでもありません。塗装工事というのは色々な物損リスクがある分、お客様に対しても不安を与えることなく工事を進行させなければなりません。
それは隣が接近していればいるほど、今の時代特に最大限の配慮が必要なものになっています。
施工中に起こると思われるであろう様々なトラブルを予測して事前準備を万端にさせて頂いてから工事に入ったとしても、工事中に怒鳴りつけてこられるお隣や理不尽すぎて話になりにくいというお隣も正直いなくはありません。
工事中は材料のにおいや足場を組み立てる音も潜在的なトラブルの要因にもなりかねません。
法面など立地的にお隣の家との高低差がある場合、高圧洗浄の汚れ水や塗料飛散防止などを考慮してメッシュシートに加えてブルーシートを貼る場合もありますが、風がある場合などはバサバサという音が原因となってトラブルになることもあります。
外壁塗装のトラブルはどんなに万全と思っていても、絶対なくならないのも外壁塗装だと思っています。
業者として今後は工事品質を問われるのはもちろんこれまで通りですが、今以上に気づかいや配慮、礼儀やマナーが問われることになる業者になるのかなと感じています。