スレート屋根・カバー工法
スレートをはがさず現状のスレート屋根の上から被せて行う屋根工事です。昔の頑丈なアスベスト入りのスレート屋根の場合はそれほど需要がある工事ではありませんが、アスベストが入っていないノンアスベスト系のスレート屋根場合では、屋根塗装をしても不具合が出る種類のスレートも少なくないためガルバリウム鋼板やジンカリウム鋼板などの金属瓦を使った工事も増えています。
ノンアスベスト屋根の主な代表的な種類には、ニチハのパミールやコロニアルNEO、セキスイのかわらUなどがあります。これらノンアスベストの屋根材は、アスベストが含まれていない為、環境に優しく健康に対するリスクも低いというメリットがあります。ただひび割れしやすい特徴があり、天候や時間の経過によって変動する温度や湿度の影響を受けやすいです。
一見すると塗装でひび割れをカバーできるように思えますが、塗装だけでは一時的な解決策に過ぎない場合が多いです。実際に塗装をするために職人が歩行しただけで割れてしまう個体のスレート屋根も存在します。
またひび割れそのものを塗装で修復するのはできたとしても、耐久性には難があるため、葺き替えより手ごろにできるカバー工法が非常に増えてきています。
工程としては、既存のスレート屋根を撤去することなく、現状の屋根の上にアスファルトルーフィングなどの防水紙を敷いてシングル材かガルバリウムやジンカリウム鋼板などを被せて施工をします。
屋根で一番気になってしまうことが多い棟板金も、トタン系統のものではなく屋根本体と同質のため錆びることがほぼなくなります。棟板金を釘やビスで止めていた下地材の抜き板も木材から樹脂製のものになるため、室内からの結露などの影響を受けていた抜き板の腐食もなくなり、強風や台風でも安心できます。
スレート屋根の張り替え
スレートの張り替えはカバー工法に比べて圧倒的に少なく、そもそもスレート屋根はアスベストが入っていて頑丈のため張り替えの要素が多くありません。ただ野地板などの腐食が影響する場合は下地から張り替える場合などがあります。
アスベスト入りのスレート屋根では、2021年(令和3年)4月1日よりアスベスト(石綿)の飛散を防止するため大気汚染防止法が改正されたため、施工にも十分な配慮が必要になったため工事件数も減少していますが、塗装職人では「一般建築物石綿含有建材調査者」と「一戸建て等石綿含有建材調査者」計3名の調査者がいるため、必要に応じて対応が可能です。
住宅所有者の施主にも配慮義務が生じるため、アスベスト入りのスレート屋根材の張り替えをする場合は業者と念密な打ち合わせが必要になります。ただ2006年から製造されているようなノンアスベスト入りのスレート屋根には厳しい規制は対象外になります。
瓦屋根の葺き替え
瓦屋根から他の屋根に変更するメリットは地震などの影響を考えて瓦からスレート屋根、または金属屋根に葺き替えをする場合もあります。瓦は1平米あたり50㎏前後の重量があるため、一般的に屋根全体では3トンを超す場合も珍しくなく地震の際には落下の危険性や最悪な場合倒壊の可能性もなくはありません。
一方、スレート屋根や金属屋根は1平米あたりの重さがそれぞれ十数㎏程度であり、特に思い陶器瓦と比較すれば約1/4〜1/6の重さになります。そのため、地震の揺れに対してより安全と考えられます。ただ瓦屋根は撤去費用も廃材量も多くなるため工事費もかなり高めになります。
トタン屋根も下地から交換して頑丈な屋根に
内の住宅ではすっかり見かけなくなってしまったトタン屋根の場合でも、カバー工法は可能です。ただトタン屋根の場合は、築年数が非常に経過している屋根が多く、湿気や結露の影響でスレート屋根より下地の桟木や野地板などが腐食している場合が少なくないため、本当にカバー工法が適正な施工方法なのかよく調査点検をする必要があります。
スレートとは違いアスベストが含まれていないため、建築物石綿含有建材調査者による調査は行う状況こそあれ、アスベスト飛散の防止措置を講じることがほぼありません。
張り替えの場合は今までのトタン屋根を撤去し、腐食度合いによって下地などの野地板も交換して張り替えます。形状はトタンでも素材はガルバリウム鋼板なので、錆びることなく塗装などのメンテナンスはほぼ不要になります。
東京店で金属屋根見れます
東京世田谷店のショーウィンドウにはガルバリウム鋼板の金属屋根のカットサンプルが飾ってあります。
反対側の壁にはスカイメタルルーフ・リッジウェイ・スーパーガルテクトなどを貼り付けています。
最近では外壁塗装&屋根塗装という組み合わせに加えて、外壁塗装&屋根工事という組み合わせも増えつつあります。ただ、お値段が張るものなので、計画の際の情報は多いに越したことはありません。ぜひ店舗に足を運んで頂き屋根工事のイメージを掴んでください。
屋根カバー工法を展示
杉並店のスマートショールームでは、工程順に施工した屋根の構造をよく知ってもらうために大工の手によって本物の木造小屋を再現しました。切妻タイプで片側に屋根工程がわかるような構造に、もう片側は金属屋根のカバー工法と同じようにリアルに再現施工してあります。
屋根構造
屋根の全工程がわかるように構造を見本化しています。右から野地板・防水下地シート・スレートの構造で、その上からカバー工法として新しい防水下地シートと屋根材を貼って仕上げた構造を再現しています。
スレートにはリアルにクラックが入った屋根材を使用しています。屋根頂上の棟板金も下地の木製貫板が見えるようにしている一方で、腐食しない樹脂製の貫板も展示しています。
屋根構造を理解することは最近非常に多くなってきている訪問販売系の業者からの無理な説得にも少しでも対応できるようになると思います。
カバー工法の施工断面
反対側には断熱材が入ったガルバリウムの金属屋根を貼った工程の見本を展示しています。スレートも実際の現場から調達しているものでリアル感を出すためにカビやコケが付着している屋根材そのままで施工しています。
抜けて弱くなりがちな棟板金の釘もビスにて取り付けてあります。使用している屋根材は、「スーパーガルテクト」「リッジウェイ」などです。
各種金属瓦
屋根材は断熱材が入っているものから入っていないものまであります。左から「スーパーガルテクト」「スカイメタルルーフ」「ディーズルーフィング」。自然石粒が付着するタイプや遮熱機能を加えたものまであります。金属屋根なので雨音を気にする方も中にはいますので、手触りで屋根材に雨がぶつかったときの響きのイメージも感じ取って頂くことができると思います。