業者選びや塗料選びなど外壁塗装をする際は高額なだけあって計画をするにも悩みがつきないかと思います。
塗料の種類選び・施工品質・業者対応などなど。
普通であれば適正かつ最高の塗料を使って、更に正しい塗装を施すれば、工事品質的に満足いくように思えるかもしれません。
ですが、塗装工事の場合、塗料や塗り方だけにこだわってしまうばかりに見落としてしまうものがあります。
これは特に築年数が経過すればするほど顕著になるという傾向にもあるものですが、それは傷みすぎている個所を塗装だけで済ませてしまうという類の工事です。
そもそも傷んでいるから塗装をするということになるわけなのですが、腐食の一歩手前など素材が劣化して傷みすぎて本来は交換なり補修なりするものを、工程やコストの関係で補修作業がなされず塗装されてしまうという工事です。
塗装というものは素材の表面を保護して腐食などを回避するもので、塗装で腐食やその一歩手前の状態を元通りにするというものではありません。
築年数が経過してすでに腐食したまま塗装を施しても遅いという場合はたまによくあことです。
特に屋根付近や高所などの場所にあるような箇所は目に見えにくい場所です。
現地調査の見積もりに行っても実際に足場を組んで仕事をし始めて腐食などに気づくようなパターンもあります。
現在の住宅は新建材やケイカルなどのセメントと繊維を圧縮されたようなものや押し出し成型板など、ひと昔の住宅によく使われるようなベニヤ板や木製などの腐食しやすい素材は使われていない仕様の家がほとんどです。
但しこのような比較的新しい建材でも腐食のような傷んでボロボロに崩れてしまうものもあるので、塗装だけで済ますのではなくしっかり補修など根元からしっかり補修して塗装をすることが重要となります。
もしそのような補修の必要性が出てきた場合、しっかり補修するには大工や板金屋、シール屋などが出で来る場面です。
ほんの些細な補修を塗装の職人が兼業して行う場合もありますが、餅屋は餅屋で耐久性を保持できるきちんとした補修の場合は塗装の職人では立ちいかなくなります。
それでも無理に塗装の職人が兼業したり根元からの補修をせず、上から腐食部を隠すように塗装をしてしまう工事をされてしまうとなると当然長持ちはしなくなります。
では塗装以外の職人が入るケースというものは何でしょうか?
まず外壁がサイディングの場合は目地や窓周りなどのシール(コーキング)についてはシール屋の仕事です。
このシールを塗装の職人が兼業してしまうとほぼ最悪の結果となることが少なくないです。
サイディング塗装で一番の肝はどんなに良い塗料を塗るのかということよりもシールの品質のほうがなにより大切です。
シールの品質が耐久性の要素をほぼ決めてしまうというようなものです。
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そして外壁がサイディングやモルタルに関係なく補修が必要になるものといえば、先ほどお話した建材などが使われている付帯部分や外壁のクラックです。
モルタルの外壁クラック補修は戸建ての場合は塗装の職人によって補修するのが一般的なのでそこは問題ではありません。
目地などではなく、サイディングボード自体のクラックでは大工やシール屋などが入ります。
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問題は外壁以外の部分です。
つまり、破風や軒天、帯板などの付帯部分ですね。
構造的にフラットな外壁に対して、形状が複雑で角などのでっぱりや隅などのへっこみ構造が付帯部です。
いたるところにビスや釘で打ち付けられ、新築時にカットなど加工をして取り付けているため、素材の断面箇所は見た目でははっきりしないもののその個所は断然多くなります。
それだけ経年劣化による影響も受けやすいということでもあり、地震の動きや台風などの風圧的で自然的な影響も受けやすくなります。
本来こういう新建材などの補修などは大工仕事の範疇ですが、施工的な場所が強く関連している理由や扱う道具的に似ている要素もあり板金屋が行う場合もあります。
付帯部分は外壁や屋根などに集中してしまうため見過ごされがちな部分ですが、塗装で家全体をバランスよく長持ちさせようとするならば付帯部の施工にも着目したほうが良いです。
交換以外にも板金巻きといって、今以上腐食させないようにガルバリウム鋼板などを上から貼る施工方法もあります。
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雨や風の影響を強く受けとめてしまう場所でもある付帯部。
現地調査で発見できない場合、足場を組んだ後に発見されてから大工や板金屋などの専門職を入れての補修は、業者としては工程が後ろにずれるため中々調整が厄介なのです。
だからと言って軽微な補修材で補修をしたとしてもまず長持ちしません。
業者選び、塗料選びなど散々苦労した挙句にもかかわらず一気に外壁塗装の価値を下げてしまいます。
見た目にも劣化が激しそうな場合はもちろん、ある程度築年数が経過した家の場合は、塗料の種類や塗り方だけでなく補修方法も聞いておきましょう。