モルタル外壁塗装

モルタル外壁の下塗り作業をしている一級塗装技能士
モルタル外壁はたっぷりの塗料でひび割れを防止する一級塗装技能士

モルタル外壁は主にクラックの補修が耐久性においては重要です。モルタルの模様種類によってはカビや汚れがこびりついているので、再発防止のために塗料の選択も重要です。
塗装職人で行っている東京都内のモルタル塗装はすべて一級塗装技能士が行っています。

モルタル塗装

一般塗装

モルタル塗装といえば、通常のウールローラーで通常の塗料を塗るこの塗装方法が一般的です。塗料は元々つやがあるものなので、特に指定がなければつやありの美しい塗装となります。

ウールローラーを使用して丁寧に塗装
ウールローラーを使ったつやありの外壁塗装

ツヤ消し塗装

艶消しや5部艶(半艶)など、つやの程度を変えて塗る塗装方法です。例としては和風建築の住宅の場合は艶消し塗装をすることがあります。溶剤(油性)塗料を使用した塗装の場合は、艶消しの限度も限られますが、水性塗料を使用する場合は完全につやを消す塗装もできます。

モルタル外壁の上塗り作業をする様子の撮影
ローラーによる艶消しモルタル外壁塗装

砂骨ローラー

一般的な繊維などの毛のウールローラーを使うのではなく、砂骨(さこつ)ローラーという特殊なローラーで塗る外壁塗装です。モルタル外壁の場合はクラックが主な悩みとなることが少なくありません。ウールローラーの塗装より波型の模様になるぐらい肉厚塗膜になるためひび割れしにくい塗装をすることができます。

モルタル外壁を鎖骨ローラーで塗装している様子
砂骨ローラーによる外壁塗装

クラック補修

モルタルの外壁塗装の劣化のひとつの特徴といえばクラックです。クラック幅にもよりますが塗装だけでは修復できないクラックは下地処理と呼ばれる補修をしてから塗装に入ります。

クラックは「乾燥クラック」と「構造クラック」の2種類に分けられます。
モルタルとは水とセメントと砂を練ったものです。
新築時に左官屋の手によってモルタルをラス網に塗布して外壁を仕上げます。その後の乾燥過程において水分が数か月にわたって蒸発していくにつれてモルタルの体積が収縮することによってクラックが発生するのですが、そのクラックのことを「乾燥クラック」といいます。
クラックの幅は0.3ミリ以下といわれます。一般には雨漏り等の悪影響が少ない亀裂で髪の毛程度の太さから「ヘアークラック」とも呼ばれます。

白いモルタル外壁に黒く細長い横に走るクラックが数か所発生
乾燥クラック

一方で「構造クラック」とは0.3ミリ以上の亀裂で、住宅の場合、木造自体の構造にゆがみが生じてクラックが発生するため乾燥クラックより割れ幅が大きい亀裂となります。

亀裂幅が0.3ミリ以上ある構造クラックの様子
亀裂幅が広いクラック構造クラック

いずれのクラックも割れ幅によって補修方法を変えて、再発しないために最適な処理を施して塗装をしています。
補修材は手作業と機械式で変わりますが、いずれもできる限り可塑剤が入っていないノンブリードタイプの補修材をメインに刷毛でなじませることがし易いセメントフィラーをも使用し補修跡が目立たないようにしています。

手作業

基本コーキング材や外壁専科などのシール材でクラックを手作業で埋めて補修をします。
モルタル外壁の場合、種類によっては外壁模様の凹凸の差がかなり変わるため、おなじ手作業でも補修跡を目立たなくするために修復方法も変わってきます。
再発しないさせないためにはクラックの奥深くまで補修材が行きわたるように補修をします。

フィラーの擦り込みによるクラック補修

半自動式

スムースエポを使用したクラック補修のHSS工法

機械式

幅の広い亀裂の場合、電動工具やコンプレッサーを利用してクラック補修をします。動力や機材が必要になるため手作業に増して費用負担が大きくなります。

コンプレッサーなどの機械を使うことも

OGS工法

OGクラウドガンをエアーコンプレッサーによって弾力性エポキシ樹脂を注入して補修します。

コンプレッサーを使ったクラック補修

Uカット

塗装職人ではコンクリート住宅などの鉄筋コンクリートの建物に使用することがありますが、ディスクグラインダーで溝を広げて補修する方法のため、戸建ての木造住宅のクラック補修では不採用としております。

Uカットのクラック補修

他の劣化と補修

クラック以外の劣化も最適な処置をして塗装をします。

カビ・コケ

モルタル外壁でも特にリシンやスタッコ、ジョリパットなどのざらついた外壁はカビ等が発生しやすいです。カビは塗装の剥がれの原因になるためエンジン駆動式の強力ジェット水流による外壁洗浄機にて除去後塗装をします。ただしカビなどは外観上の問題のため耐久性にについて言えば緊急性はありません。

高圧洗浄途中のモルタルに付着したカビ

チョーキング

チョーキングも塗料の密着を妨害するため塗装の剥がれの原因になります。よく洗浄をしてきれいに流して塗装をします。

塗料樹脂の顔料が劣化してくるチョーキング

欠損・剥離

外壁が欠けている場合は左官屋によってモルタル補修をします。補修後は跡が極力残らないように砂骨ローラーや、状況によって現状の外壁と同一になるよう骨材を吹き付けるなどして模様をぼかし塗装をします。

模様別の塗装

モルタルはその模様種類(仕様)によって塗装や使用塗料、塗料の使用缶数も大きく変わってきます。
特に新築後に行う塗装としては、初回になるのか2回目になるのかの違いで塗料の使用缶数も大きく異なため耐久性を追求するには塗料の扱いも重要になってきます。
塗装職人ではそれぞれの外壁模様に最適な塗装仕様で施工しています。

様々な色と模様のモルタル外壁

スタッコ

よく見られる仕上げ塗材ですが、おなじスタッコでも「吹きっぱなし」と「ヘッドカット押さえ」という模様があります。
職人にすれば模様の凹凸の高低差があればあるほど塗りにくくなるため、技術と耐久性の差が出やすくカビもつきやすい外壁です。
モルタル外壁の中では塗料消費量(塗料缶数)を一番多く必要とするため塗装職人では惜しみなくたっぷりな塗料で塗装をします。

吹きっぱなしのモルタルスタッコ

リシン

和風建築の住宅で良く使用されています。カビもつきやすくやはり多量の塗料を必要とする外壁です。

手触りがザラザラとした砂粒状のモルタルリシン

ジョリパット

ジョリパットの中でもコテ仕上げや櫛引など仕上げ方法がたくさんあります。塗装方法に大きな違いはありませんが、比較的多量の塗料を消費します。汚れがやや目立ちやすい外壁です。

ジョリパットの外壁

タイル吹付

ツルツルとした模様でクラックも目立ちやすい外壁の部類ですが、たっぷりな塗料でクラックの再発がしにくい塗装をします。

ツルツルとした外壁が特徴のタイル吹付

使用塗料

モルタル外壁ではクラックの再発を防ぐ作用が大きい下塗りが非常に重要です。上塗りにはカビの発生を予防する機能や低汚染などを含めた高耐久性能を考えた高性能多機能塗料で合計3回の重ね塗りをします。
外観的には仕上げとなる上塗り塗料の選択も重要ですが、せっかく高額で高品質な塗料で塗ったとしても、後々クラックや浮きなどの欠陥が出てきてしまうのは本末転倒です。
外壁の仕様や模様の違いによってシーラーやフィラーなどを使い分けてキレイで耐久性のある外壁塗装をさせて頂きます。

ひび割れ追従能力にすぐれる日本ペイントのパーフェクトフィラー

上塗り塗料の種類はこちらをご覧ください。

塗料の使用量(塗布量)

メーカーが定めた希釈率で用意された濃厚な塗料を、ローラーにたっぷりと含ませて施工していきます。
また凹凸でざらついた外壁模様の場合はその凹凸の微細部まで塗料を行き渡せるため希釈の調節も時には必要です。
状況によっては塗装の膨れの原因となる置換発泡(ちかんはっぽう)などを起こしてしまうため後々のトラブルがないよう現場状況をよく確認して施工をしています。

耐久性を高めるためにローラーにたっぷりと濃厚な塗料を含ませて塗る外壁塗装

一級塗装技能士による施工

厚みを保持しきれいに塗るためには、ローラーや刷毛の道具についてもできるだけ新しく品質の良いものが必要です。
モルタル外壁の場合凹凸がある種類のものが多く作業経過とともにウールローラーも徐々につぶれて厚みがなくなってきます。そのままの作業では肉厚の低下や塗りムラが生じてくるため後々の耐久性に悪影響を与えてしまいかねないため、塗装職人では一級塗装技能士という技術だけではなく道具への配慮とこだわりを持って作業しています。

一流メーカーをメインに使用している刷毛

付帯部

モルタル外壁の付帯部については、軒天のベニヤや木製破風板など築年数によっては腐食しているものは交換して塗装をしています。外壁とモルタル続きの軒天や破風部の場合もしっかりと3回塗装をします。同じモルタル外壁でもこの部分は家によって仕様が異なるため価格にも影響します。

価格

リシンやスタッコなどで凹凸があり新築から初めての塗装の場合、塗料使用量も多くその分だけの手間が掛かるため材工価格としては大きくなります。一方でタイル吹付や新築から2回目以降の塗装の場合は使用量が少なくて済みます。

付帯部の木部や雨樋に使われている塩ビなど、外壁のモルタル素材と違う素材が多く使われている家の仕様などでは、素材ごとに使用する塗料や色も異なるため材料と手間も多くなる傾向があります。

モルタルの施工事例