世田谷区の国道246沿いの店舗外壁塗装での足場の苦労

世田谷区新町方面から国道246の三軒茶屋に行く手前、上馬交番横に誰もが一度は見たことがあるたこ焼き屋さんを目にしたことがあると思います。外壁にはタコの足が絡みついたような絵柄が入っている結構見た目は印象的なお店です。今回はそのお店の外壁塗装を行わせて頂きました。

施工前
施工後

外壁の面積もこじんまりとしたお店なので工期は早いと目論んでいましたが、問題は足場にありました。一般的な住宅街ならご近所に工事前のご挨拶をさせて頂ければそれで終わるのですが、今回は横が交番です。

世田谷警察署上馬交番

店主のお客様曰く前回塗装の際は、交番に勤務するお巡りさんにいえばそれだけで足場を組ませてもらっていたらしいのですが、今回はそう簡単には行かず久しぶりに境界関係の足場で苦労しました。というのも、本来は交番だけの判断だけで越境の許可は出ないらしく世田谷警察署からの許可が必要になるという事。

住宅地以外で国道などに面している建物に足場を組む際は色々な許可が必要になります。
例えば「道路使用許可」や「道路占有許可」などです。実際、今回のように国道沿いの店舗になると、単に「足場を立てる」だけでも手続きが複雑になります。

足場組立

まず警察署に申請する「道路使用許可」。これは工事のために一時的に車線や歩道を使うことを認めてもらうためのもので、「いつ、どの時間帯に、どの範囲で足場を組むのか」を細かく書いた図面と申請書を提出します。

足場組立中の横のパトカー

さらにもうひとつ必要になるのが、世田谷区の土木部・土木計画調整課に提出する「道路占用許可」です。こちらは、足場や仮囲いなどを一定期間道路上に設置しておくためのもので、つまり「使うだけでなく、置かせてもらう」ための許可になります。

足場の設置には占有許可が必要

この2つの許可が揃って初めて、国道沿いの現場で安全に足場を組むことができます。とくに国道246沿いのような交通量が多く、歩道に関しても人がよく行き交う場所に関しては、通行人の安全確保や車両の通行規制なども含めて、警察への申請許可が欠かせません。

なので、足場屋は警察署・区役所との間を何度も行き来してもらい、ようやく正式な許可を得てから足場の組み立てに入ることができます。ただそれはそのような現場ではよくあるいつものことなので、今回はそうではありません。

「道路使用許可」と「道路占有許可」はいつも通り申請をし許可が下りたものの、問題は交番との境界。現場のお店の外壁と境界ブロックの間は10センチほどしかありません。とても足場を組めるスペースはありません。

したがって、交番側に足場を設置させてもらう「越境」が不可欠でした。

交番との境界フェンス
境界が10センチほど

そこでまず交番のお巡りさんに説明に伺うと、当直の警察官から「私たちは構いませんが、確認は警察署へお願いします」との返答。そこで世田谷警察署へ。

警察署では口頭で越境の許可を確かにもらえたため、工期と足場組立日を決定して準備を進めていました。ところが着工数日前、世田谷警察署から突然電話があり、「越境には特別な許可が必要」と知らされてパニックに。

確かに許可はもらっていましたが、あくまで口頭での了承。警察敷地に足場を組むケースはほぼ前例がなく、担当部署も想定外だったため、うっかり「大丈夫」と答えてしまったのだろうと推測します。

通常なら着工を延期すれば済む話ですが、今回は「たこ焼き屋」から「串焼き屋」へのリニューアル工事で、オープン日が決まっており延期ができません。

そこで冷や汗をかきながら考えた対策が、境界ブロックの上に足場を立てることでした。

境界ブロックの上に足場
境界ブロックの上に足場2

実際には越境しても警察業務に支障のない位置でしたが、それでも慎重を期しベースをわずかに空中越境させる形で設置。フェンスがあるため完全には地上に置けませんでしたが、了承を得て施工しました。

足場のすぐ下には頻繁に出入りするパトカーが止まっていたため、傷をつけないよう神経を使いました。住宅街なら「お互い様」で済む場面ですが、相手が警察ではそうはいきません。

警視庁パトカーの真横で足場組み

市民生活を守るための規律は当然必要で、それがあるからこそ安心して暮らせるのですが、まさか10センチの問題でここまで苦労するとは思いませんでした。無事に終えられて本当に安堵しました。

足場の組立後は高圧洗浄です。246沿いの歩道は本当に行き交う人が多く、足場のメッシュシートをしても水切りは舞い散るので歩行者に気を付けて洗浄する必要があるため注意も必要です。

先日の田園都市線で電車の脱線事故がありましたが、あの時は駒澤大学付近のバス停に100人程度並んでいたのを直接見たので、その時でなくてほんとによかったです。できるだけ歩行者がいない時を見計らったタイミングで洗浄をします。

高圧洗浄
ジェット水流で外壁を洗う

工事中はパトカーが止まっていたりして、高圧洗浄時にはカバーを掛けさせてもらったりしていたのですが、出たり入ったりお巡りさんは忙しく仕事していましたね。

お店の外壁塗装といえば、タコの足跡模様から串焼きの炭火をイメージさせる黒系の色にガッツリイメージチェンジさせて頂きました。外壁面積も多くないので養生をする部分も少なく手間的には難解なものではありません。

塗料はニッペのものを使用しました。最近ではニッペもグランセラなど無機系の住宅用塗料も出してきていますが、今回はまだまだ現役世代のパーフェクトトップシリーズで塗装をします。下塗りにはパーフェクトサーフ、上塗りには溶剤のファインパーフェクトトップSIです。

パーフェクトサーフ
水性パーフェクトトップSI

今回の一番重要となるのがやはり色です。塗料カタログの常備色ではなく日本塗料工業会の標準色から選んでいただきお客様が選んだ色がL19-20Bという色。真っ黒というより若干赤色が入った黒に近い茶系です。

日本塗料工業会の標準見本帳

塗装作業的には、塗料はニッペのパーフェクトサーフで下塗りして白くします。ここでタコの足模様を消す感じです。外壁はタイル模様のサイディングとモルタルの2種類の外壁です。

ビニールマスカー養生
外壁下塗り

建物は結構年季が入っているので、ところどころ外壁の下地が剥がれていたためフィラー系の下地補修材で砂骨ローラーを使いながら作業していきました。乾燥後は外壁全体にサフェーサー、その後ファインパーフェクトトップを中塗りと上塗りで通常作業通りの計3回塗りです。

砂骨ローラーで補修塗装

外壁塗装の上塗り

付帯部はシャッターボックスと塩ビ管にプライマーを塗りファインパーフェクトトップで仕上げます。すこしだけ苦労したことといえば、白色から黒色へ真逆の色へと変えるので透けやカスレに若干注意しなければならないという事です。ただその分サフェーサーや上塗りもたっぷりに塗ったので問題なし。

塩ビ管のプライマー下塗り
シャッターボックスプライマー

店名は「たこ焼きジョージ」から「串焼きジョージ」に変わりました。施工前にたこ焼きを食べさせていただきましたが、とてもおいしかったので、きっと串焼きも情熱がこもった味を出してくれると思います。

そしてこちらが塗装後の串焼きジョージの完成です。

外壁塗装の完成
246新町方面に向かって撮影
246渋谷方面に向かって撮影

この246号線の上馬付近の渋谷方面は特に朝などは慢性的に渋滞が多いので、よく目にすることがあると思うので外壁塗装の変わりようとぜひその味も確かめに行っていただければと思います。

目次