前回までのブログでは、現地調査の様子やシーリング工事の施工手順やその必要性についてと腐食部の追加補修工事をご紹介させていただきました。
今回も引き続き同じお客様宅の工事をご紹介していきます。
合わせて前回のブログもご紹介いたしますので、よろしければこちらもご覧ください。
関連記事 雨漏りのある家・・工事中に木部の腐食が発覚した現場③
防水工事の内容
お客様宅の工事も残るところバルコニー防水のみとなりました。
バルコニーは特に経年劣化の進行が見られたため、防水機能をしっかりと確保するために今後のことも考慮したうえで、ウレタン通気緩衝工法をご提案させていただきました。
施工前の現状写真がこちらです。塗膜のひび割れ、塗膜剥がれの症状がはっきりと見受けられます。
バルコニーやベランダは紫外線や雨などの影響も受けやすく、経年劣化の進行速度も進みやすいため、ひび割れや塗膜剥がれの症状が発生しやすいのです。
どんなお住まいのバルコニーやベランダであっても年数とともにひび割れや塗膜の剥がれが発生してしまうことはしょうがないことです。
経年劣化が発生することは避けられないのですが、経年劣化をそのままにしておくということは建物にとってはダメージになるため好ましい状況ではありません。
後回しになりがちなバルコニーやベランダのメンテナンスですが、実は雨漏りも発生しやすい箇所ですので、もし劣化症状が出てきたら早めの対策をおすすめしております。
今回ご提案させていただいたウレタン通気緩衝工法は、ウレタン樹脂を塗る前に通気シートを挟み込み、換気用の脱気筒を取り付ける工事内容になります。
通気緩衝シートが下地と防水層の間に隙間を作ることで、下地から発生する水蒸気を外部に逃がし防水層の膨れや破断を抑制する効果が期待できる防水工事です。
ここで実際にベランダから雨漏りが発生したお宅の防水工事のブログをご紹介いたしますので、防水工事の一部としてぜひ合わせてご覧いただければと思います。
関連記事 発見しやすいベランダの雨漏りは防水・塗装工事の要
実際の施工手順
最初に行う作業はバルコニー床面のケレンと清掃になります。
ケレン作業は適切な方法で行わなければ、かえってバルコニーを傷つけてしまう場合もあります。
ケレンする素材に合った方法(道具など)を選び、研磨しすぎない、粉塵をしっかりと除去する細かい作業が非常に重要になってきます。
見えなくなってしまう箇所ですが、土台創りが肝心でケレンと清掃の影響は仕上がりにも大きく関わってくるため、作業を行う職人は力加減に気を付け細部まで丁寧に施工していきます。
ケレンと清掃が完了したら次に下地調整を行っていきます。
通気緩衝工法は、下地と防水層の間に通気シートを設けることによって、下地からの水蒸気を排出する仕組みになっています。
下地が平滑でなければ通気シートと下地の間に隙間が生じてしまい、水蒸気がうまく排出されないという状態になるので、下地調整によって平滑に整えます。
下地調整が完了したら次にプライマーを塗布していきます。
プライマーの役割は、下地と通気シートの密着性を高めることです。
下地と通気シートがしっかりと密着することで、防水層全体の強度が向上しますので防水層の劣化を防ぎ、長持ちさせることにも繋がります。
塗りムラが発生しないように、丁寧に隅まで均一に塗り込んでいきます。
プライマーが完了したら次に通気シートを下地と密着させます。
適切なサイズにカットした通気シートを下地に貼り付けていきます。この時に浮きが無いようにしっかりと圧をかけながら丁寧に行っていきます。
通気シートにジョイントテープを貼っていくのですが、端部のテープは通気シートと下地に隙間が出来ないように注意しながら貼り付けてしていきます。
後に施工するウレタン防水が通気シートの下に流れないようにするための役割があります。
通気シート貼りが完了したら次に入隅部のシーリング充填を行っていきます。
防水工事で重要なことは建物の状況や目的に合った材料と施工をすることにあります。
立ち上りと床面の接合部は雨水も溜まりやすく、防水層が破断しやすい箇所ですからシーリングで接合部をしっかりと埋めて、雨水の侵入をブロックします。
入隅部のシーリング充填が完了したら次に脱気筒の設置を行います。
通気シートを脱気筒に合わせたサイズで丸く穴を開けて、通気シートのしたの閉じ込められた水蒸気や空気が外に出られるように脱気筒を設置します。
脱気筒の設置により、雨や室内の湿気によって発生する水蒸気が外に出て行ってくれるため、防水層の膨れや劣化を防ぐ効果が高まります。
脱気筒の設置が完了したら次にウレタン一層目を塗布していきます。
立ち上がり→平場の順番でウレタンを塗布していきます。
一層目が十分に乾燥した後、ウレタン二層目を塗布します。
ウレタン二層目が乾燥したら最後の仕上げのトップコートを塗布していきます。
トップコートは、紫外線や雨風や歩行などの摩擦から表面を保護する役割がありますが、トップコート自体には防水性はありませんから、防水層と違ってトップコートは5年ほどを目安に考えて塗り替えを定期的に行うことをおすすめしております。
5年というのはあくまでも目安ですから、立地環境や利用状況に合わせて考えていただけると良いかと思います。
ウレタン防水工事の詳しい動画がありますので、合わせてご紹介いたします。ぜひご覧ください。
関連動画 屋上の防水工事 雨漏りしないメカニズムとは
工事全体を振り返ってみて
今回お客様からは雨漏りをきっかけにご依頼をいただいたのですが、実際に工事を進めさせていただくと新たに不具合箇所が発覚して追加工事が行われた現場となりました。
しかし、職人の迅速な対応もあったことから、工期も大きくズレることなく無事に補修作業が完了いたしました。
工事期間中においては騒音や臭いなどの影響が少なからず発生するため、お客様とご近隣のご協力があってこその工事だと思っております。
完工後のお引き渡しの際には、今まで気付かなかった不具合箇所も直ったことでお客様は大変喜んでくださり、菊池も職人も大変嬉しく思いました。
ここでバルコニーのビフォーアフターをご覧ください。
(施工前)
(施工後)
現場によって一つ一つ構造や仕様が違うからこそ、弊社では各部位に対応できる職人を揃えて、トータルに最高品質の工事のご提供をさせていただき、お客様に喜んでいただけるように努めております。
イレギュラーな場面に出くわすこともある塗装の現場ですが、勝手に工事をしたり、プランを変更するということは致しません。
いかなる時もお客様目線での工事を心掛けております。建物のことなら塗装職人にぜひご相談ください。
お客様宅に合った工事プランのご提案をさせていただきます。